工 作Hint

6.  旋盤の作り方
昔々、「日曜大工セット」を買い込んでベニア板を早速切ろうとしました。製材所等の”ベルトのこ”の様子を頭に描いていました。 「キャーン」という音でスッパスッパと真っ直ぐに切れる工具は
自作派にとって頼もしいものです。だが実際にやってみると、ノコが”暴れて”危険この上ない有様で、ついには電気カンナでモータのコードの外皮ゴムを削ってしまったことがあり、
それから倉庫にしまいっぱなしでした。
それに懲りず10年前に、DIYで電動ミニ工具を気軽に使えそうな装置の「納得できる展示品」を見て、旋盤とフレシキブルコ−ドを使える”だろう”という装置を作りました。
結果はやはり取付台が小さく て軽いのか、小さな振動 が発生して、まるでシッポの無い ロボット犬のように”勝手に”動き回り、身に危険を感じてまたもや倉庫入りしました。

さて 今回、性懲りも無くこの取付台を重く、大きな板に換装して、安全なものに改良しました。
(勿論、作業机にこの装置を固定されるのが一番コンパクトに出来る方法です)
さて、当初は切削クズが相当飛び散ると予想して、窓外でやると決めていたのでこのようにしましたが、実際は糸クズ様のカスが出ますが室内でも作業出来ます。
作業後、掃除機で吸い取ればOKです。奥様の理解度にもよりますが…

上写真左
A:手元On-Offスイッチ 
モータードリルにもスイッチは付いていますが、安全のために私は付けています。
B:彫刻刀
切削用の平刃彫刻刀と、彫刻刀の刃面にサンドペーパーを貼付けた研磨用のもの、Pカッターはブレードが薄いので危険を伴います。
C:ドリル用モーター
ドリルに回転数を変えられる物もあります。またドリルによっては取付けバンドで締め付けにくい形状の物もありますのでご注意下さい。
D:モーター取付金具
これが重要な働きをします。DIYショップにあります。スチールのバンドでモーター本体を締め付けて固定します。締め付け用ボルトはドラーバーよりレンチのほうが 軽い力で出来ます。
モーターとE:材料受台のピンはピッタリ平行に取付けなければなりませんので、台座板に補助線を引き正確に取付けます。
理想的に言えば、この支持面が長いか、この台を2つ付け2ヶ所で水平に固定すると良いでしょうネ。
E:材料受台
この箱の中にモーターの回転と同じ速度で回るピンが取り付けてあります。先端の尖ったピンは箱の中で2個のベアリングで固定されています。
なお、箱の手前にある溝は、のスライド用穴で、ボルトは受台Eの位置の固定用ボルト(埋込み)。
あらかじめ材料の中心に穴を開けて、このピンに差し込みます。
F:受台スライドガイド
モーターに対して正確に平行移動できるための受台Eをスライドさせるガイド。
G:やすり
切削の始めは、まずヤスリを掛けて、ある程度でこぼこ無いように削ります。その後B:平刃彫刻刀で本格的に削っていきます。
その他
丸い砥石
は、側面の平らな部分を使って部品の平らに仕上げたいところを加工するのに使います。また、エッジを利用すると、部品をえぐることも出来ます。
マジックインク
は、材料のデコボコを確認するため塗ります、削った跡にマジックが残っていたところがまだ凹んでいるという印になります。
ところで、青い矢印がありますが、受台のセンターピンと、モーターのチャックにくわえさせた材料を水平に取付ける必要があります。そのための微調整用の紙です。
私は通常は広告のチラシを使っていますが、手近に無い時は1万円札を畳んで使っています。接着剤で完全固定にすると不要になります。

上写真右
切削の様子
必ず支持台(赤く示した板)を置いて作業してください。フリーハンドでやっていると、何かの拍子に切削刃が材料に食い込み「ガガッ」と早い回転に巻き込まれそうになることがあります。
支持台があると事故が防げます。またこの上を左右に動かして、材料の直径の大きさを”超微妙”に操作出来ます。
刃先の平らな彫刻刀を少し斜めに構えていますが、状況に応じて角の鋭い面で深い溝を掘ることも出来ます。また形の違う刃物に持ち替えてもいいでしょう。
ただし、切削刃は分厚いものを使用してください。刃先の破損が一番危険です。装置が小さいので袖口が巻き込まれるとかの心配はないでしょうが…。
特別付録: 彫刻刀の刃先に極細サンドペーパーを接着して最後の仕上げに使おうと用意しました。実際使ってみると縞模様が出てしまいました。
一番ツルツルに仕上げられるのは、平刃彫刻刀でした。最初の切削から、仕上げまで、この1本で出来ます。


写真上左 : 改造旋盤を使って、ランナーを利用して砲身を作りました。左から、松井選手のバット。次は旋盤から取り外した砲身、右は前後をカットしたもの。 最右はバンドを取り付けたもの。
今回は3本のバンドの表現まで考え付かずマスキングテープを巻きましたが、次回からはバンドを一体化したもので作ります。
写真上 : 1/200「長門」の主砲砲身です。 ライトアップされたモニュメントのようです。

こぼれ話
材料受台E
はベアリングを2個も使い万全の作りでした。ところが実際に使ってみると、材料が高速回転してもこの受け軸は遊動せず回りませんでした。 回らなくてもしっかり役割を果しています。
しかしこれが無いとカッターやヤスリを材料に押し付けると小さく振れて切削がうまくいきません。真鍮やアルミの金属材料を使っての加工の時 には遊動してくれるハズです。
”超微妙”と言えば、砲身作例の左端に「松井のバット」を余興で作りましたが、「イチローのバット」も作り分けられる位、微妙な形に成形できるのは嬉しいですネ!

これからの改良点
今はモータードリルをバンドで取付けて汎用的に使っていますが、軸を水平にしてガッチリ台に接着剤で永久固定して、「旋盤とフレキシブルワイヤー使用」の専用にしようと思います。   
実はこの固定用バンドで取り付けることの出来ないモーターを着想以前に買っていて使っていないのがあるからなのですが…(^^;;
 

6-2. パイプカッター、ルーターの活用例   岡本さんからお寄せ頂きました工具を紹介致します。

 上写真左
パイプカッターは配管用パイプのカットに使う物で20ミリ丸まで切れます。これで 木の丸も切っていますが表面から3ミリ位の深さまでしか切り込みが入らないので先 に真ん中に穴を開けておきます。
ゆがまず平行にきれいに切れます。
上写真右
ルーターは2ミリ以下の丸ものの加工に使用し爪楊枝の先をラジオペンチでつぶして 抵抗をつけて差込み、やすり、ペーパーで整形します。
(このルーターは使ってみますと非常に便利が良いです。ペーパーで削ると広範囲に削れてしまいますが、ルーターで研磨しますとスポットで削れますので後処理がきれいで楽です)



6-3. SC350 キャノピーの作り方

キャノピーを絞り出す凸形を作りますが、これは予めエンビ板の厚み分を差し引いて、一回り小さく作ります。
最初は透明プラ板でトライしましたが、凹凸の激しい木型では成形する時に裂けてしまいました。そこで0.5mmのエンビ板を使用することにして、木型をもう一回り小さくしました。
左写真のとおり、戦闘機用のキャノピーは全長が5mm、幅が2mm程度ですが、これはご飯粒を縦に分割した大きさになります。
私の場合はSC350とSC200の2種類作るつもりで汎用できるように写真のような木型を作り、真ん中をボルト固定するようにしています。
次に固定台は中写真のように、机の裏面にバイスで木片を止め、ボルトで固定しています。
工作法としては、オーブントースターを床に横倒しにして、ガラス扉を開放状態(大筆の柄を取っ手に差込んだ)で固定しました。
タイマーOnにして、ラジオペンチで挟んだエンビ板をトースターの上で熱して、木型の上に持って行き、片方をプライヤーで挟んで 一気に押し付けます。
その時木型の下の方で挟みつけるように絞り込みます。かなり絞っても破れることはありません。

工作のツボ : 
木型の表面にハンドクリームを塗っておくと滑りがいいですヨ。 
引き上げたエンビ板の不要部分をカッターとハサミで切り取ります。次にもう一度木型の上にエンビ板を乗せて、その状態で正確なラインをカッターで印をつけて木型より外し、カッターでカットしていきます。
その後、ヤスリを使ってキャノピー下面を成形します。
本体への取り付けはボンドを使用しています。コツはボンドをつけて5分以上放置しておいたのちに押し付けて取り付けます。
塗装が難しいですネ。筆で塗るのは簡単ですが、透けて見えるので中々色が付いたように見えないですよネ。室内ならいいのですが太陽光の下だと透けて見えます。
写真左 : タイヤは電線の外皮を利用します。大きなサイズには芯に伸ばしランナーを差し込んで調整します。プロペラは1/350用ですが左は1/200用です。
       「流星」の胴体にどっかで見た「必中」の字を書き入れました。ただ知らない人は「心中」と読み、おどろおどろしい飛行機になりますネ。

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