工 作Hint -5

(5-3)  バルサを使った 船体の作り方

「高雄」の船体をバルサを使って作りました。
その船体の作り方のポイントをご説明致します。
なお、「扶桑」「飛龍」もバルサを使って作っています。芯材にヒノキ等を使用してバルサと組み合わせていますが、
夫々に大きさが違いますので、その方法は全て違っていますので夫々をまずご覧下さい。
しかし、バルサ材の処理の方法は共通しています。

バルサの利点は、多種の厚みの物が入手し易く、材質が柔らかですので、非常に加工が し易いです。
反対に柔らかなので、衝撃で傷付いたり凹みます。
…という事で、欠点をどうカバーするかがポイントになります。

1.カット後の整形にサンドペーパーを使う時は必ず当て板を使います。柔らか”過ぎる ので表面がデコボコ削れますのでそれを当て板で防止します。
2. ある程度の形が整ったところで、ニスを塗ります。表面が少し硬化して、ザラザラ に毛羽立ちます。
3.そこで仕上げのペーパーを掛けます。表面が落ち着いてきます。
ニスは表面硬化と防水の役割を果たします。ニスは加工に関係ない裏側や断面にも塗っ て完全密閉します。
また芯材にも同様に塗った上で、両者を貼り付けます。水分を含む ことによる”反り”を防止します。
4.木工パテを全面に塗り込みます。乾いたらペーパーで表面処理します。
5.サフェーサーを吹き付けて、側面に何箇所も鉛筆で直線を引いて船体断面系がスム ーズなことを確かめてペーパー掛けします。
場所によっては木工パテやうっすらとニス地肌が 見えるくらい削ります。
  (これは表面の見ただけでは気が付かなかったうねりとかを均一のサフェーサー地で発見するという目的もあります。(自信があれば省いても構いま せん)
6.スケールに合わせた、0.5mmとか0.3mmのプラ板を貼って行きます。
7. スケールによっては、この上に、リベットを打った鋼板を表現するために薄くて丈夫な 腰の紙にポツポツと錐状のもので押していき、ひっくり返して貼り付けます。
8. ウォーターラインで制作の場合は台にに固定するためのナットを固定する工作が必要 です。甲板のプラ板を貼る時に水平な板に船体をボルトで固定して貼って行きます。


参考1−1小さなパーツ制作にバルサを使用する時は、断面に瞬着を染み込ませます。表面に も染み込ませますがあまり染み込みませんのでニスかサフェーサーで良いと思います。
その後、必ずもう一度金属ヤスリで表面を平らに慣らしてください。
1−2 薄くて丈夫な紙、又はプラ板で表面をプランクしていきます。

( '05.11.09 )


では、実施例です。


高雄1/350の船体を作ってみました。

H-Hull.jpg (51215 バイト)

 

H-Hull2.jpg (33717 バイト)

1. 船底(吃水部)を作る。私は檜の5mm厚板を使用しました。
(舷側を柔らかなバルサで作るので檜板は竜骨の役目もします)

2. 舷側の吃水より上部分を”大まかに”パーツ分けして接着する。(今回8ブロックに分割しました)
  まず、船首部分をV型に接着します。乾燥後船底部に接着します。
  完全乾燥後、次のパーツを船尾側に順次に取り付けます。
   船首の幅が足りない時は、バルサ片を接着する。
 上写真の最下段写真の艦首の甲板両側が白っぽいのがお分かりでしょうか?
3. 次に、吃水から甲板までを測り、舷側に線を引いて、カッターやカンナで粗削りして、最後に板状やすりで削る。

H-Hull3.jpg (79857 バイト)
4. 甲板平面を船体甲板部に書き込み、それに沿って切る。
5. 吃水の板と舷側上面
(甲板部)とを結ぶように、カッターや平型彫刻刀で削る。
  船首部舷側のR部分を彫刻刀で削る。
6. 舷側を荒目のサンドペーパーで平らにする。

  なお、プラ板でコーティングする予定であっても、ここで舷側部分のバルサ表面にサラサラタイプの瞬着を染込ませてペーパーで表面を均す工程を入れても良い。(01.07.15)
7. 艦首、艦尾2ヶ所に船体を展示台に固定するためのナットを取り付けます。船体をボルトで固定して”反り”を防ぎます。
8. 船体内部4ヶ所に甲板を張るための支えとなる角棒を付けます。
(写真1)
9. 甲板を1mmプラ板で型取りして、艦尾側からプラ板をゴム系接着剤で貼り付けていく。この時、錨チェーン出し入れ用穴を開けておきます。
  この時、船体が反らないように角板にセロテープで固定して接着します。 完成した1/350高雄型船体基本形、
後方は1/200高雄 
(写真2)
10. 甲板上に上部甲板を支える隔壁や魚雷発射管、バーチェット等の位置を赤線で刻みます。(写真3)      (01.07.17)
尚、フルハルの場合は同じやり方で下方に向かって作る。
下面は逆キャンバーが無い分作りやすいが、エディプレートやバルジの回り込みがあって複雑なところもあります。適当にどうぞ。


11. バルジを付けます。ラジコン機を作っているように針で止めます。 (写真4) 
12. バルジと上甲板張り出し部を取り付けたところ。瞬着を側面に染込ませました。   (写真5)       (01.07.20)

13. バルジもバルサで作りサンディングしたところ削り過ぎて、舷側との境目があまりにスムーズ過ぎる曲面になり、あの如何にも後から付けたという”無骨さ”が無くなったので、バルジはプラ板を使用するとして一旦剥がしました。
粗めのサンドペーパーでゴシゴシ表面を均しますが、ペーパーで”削り取る”という感覚になりますので注意が必要です。
<ヒント>舷側3cm
(1/350の場合)毎に縦線を細サインペンで引いておいて、船体正面線図と照らし合わせながら、何度も消える線を書き直しながら徐々に正しい船型になるまで削ります。
断面ゲージを作ってそれを当てながらやるのがベターですが、吃水線平面と甲板平面形は正しいので舷側の断面は目測で適当にやっています。 (WLの便利なところです)


先に舷側の補強鋼板の表現をしました。この”鋼板”はマスキングテープを貼り付けただけという簡便なものです。
 
(写真6) (写真7)        (01.07.22) 

14. バルジをプラ板で作り再接着しました(写真8)     そのアップ写真 (写真9)    
   
真鍮線でリノリューム抑えを表現する予定です。  (01.07.28)

メモ 舷側部に0.5mmプラ板を貼り付けていって表面処理を行うのですが、バルジ等の曲面が多く難しいので一面に瞬着を染込ませてパテを塗って仕上げました。
     しかし、瞬着は板の断面部への浸透はいいのですが、側面部はあまり浸透したようでは無いので経年変化がどう出るのか気掛かりです。

今後の工程
補強鋼板を追加して、排水管、舷窓、フェアリーダ等々の工作、それに甲板の工作。
甲板はリノリューム色を塗るための下地です。もっと明るくなります。私は目指す色より同系統の暗めの色で捨て塗りをします。

 

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