製 作Hint 1

木甲板工作の概略

実艦の張り方についての解説

大和の木甲板のずれ方ですが、隣の板が順番にずれるのではなく、隣の隣が1フレームずれる張り方になっています。
このフレーム間の距離(肋骨心距)は一定ではなく、例えばフレーム113から119までは120cm、フレーム119から121までは115cm、
フレーム121から127まではまた120cmだったりしてちょっと複雑です。(南
十蔵さんの考証)

上の甲板の張り方を示したものです。(フレーム113から119までの例)
掲示板上で、shin1966さんが、上記の南十蔵さんのアドバイスを採り入れて作図されたものです。

(参考資料として)
フレームの長さをまず確認する必要があり、それに基く甲板張りの設定は難しいようです。
ワタ艦さんが詳しい構造を解説されています。(ここをクリック
また、1/700「大和」甲板を、直接プラシート印刷する技法を公開発表されています。

甲板の長さについて、momo-ken氏の考察が「ワタ艦掲示板」に載っていましたので紹介致します。
それによりますと、木甲板の長さは製材の工程でせいぜい10mで、6m 程度が妥当な長さという事です。 


1.模型では
木甲板については、ご理解頂けたと思います。
(上記解説より、一筋縄では貼れない事は分かりました。そこで簡略した張り方を紹介致します。)
甲板1枚の寸法をSC200の場合として、幅 1ミリ、長さ 30ミリにします。
最初に、船体中心線に添って1直線にまず貼ってしまいます。
次に、作図の通り、隣の隣の甲板と 6ミリづつずらす事を念頭にして貼っていきます。
しかし、実行するとなると”忍”の一字の単純作業です。     

2.使用する材料
大型模型では、厚さ 1ミリ 長さ 30ミリの板に片面に黒マジックを塗り(木甲板の隙間に塗られたタールを表現)、
この板を横から薄くカンナで削ると甲板一枚出来てこれを1枚1枚貼っていく方法があります。

小型模型では、甲板を絵具等で描いた大きな原紙を写真に撮って、それを船体に貼る。または、パソコンで描いたものをプリントしてそれを貼る方法もあります。
写真のものは、色の彩度が強烈で美し過ぎて(嫁さんの鼻がピクッと動く…)現実感に乏しいので光沢を落とす必要があります。
またパソコンでは寸法はドンピシャのものがつくれますが、色の耐久性も考慮する必要があります。
それにキットの甲板の突起物への対応も考えないといけません。

 

3.木目プリントのビニールシートの活用法
今回は、T.Sさんのやり方をご紹介いたします。これは大型模型に適用できる方法です。
2.で紹介しました薄い板を削って作る方法に似ていますが、材料に木目をプリントしたビニールシートを利用するもので、
このシートを 1ミリ x 30ミリに切って貼り付けていく方法です。

この方法の利点は、柔らかい材料のためカットが簡単であるし、下地を痛めない。
たとえ途中に突起物がある場合も構わず貼っていき、その後突起物に沿ってカッターでシートを切ると突起物が表れますので工作し易い。
同様に、甲板の端っこは写真3のように構わず貼っていき、最後にカットして整形できる。
またスミ入れもシートがシンナーに負けないので簡単にキレイに出来る、シートの表面にも縦筋がそれらしく入っているので効果も出る。また艶が適当である。 

 
4.木目シートについて
モダンホームシートという名称ですが、社名は載っていません。幅が45cmでメーター売りです。もちろん1mあれば充分ですが480円でした。
他にテープ状の物もありましたが単色でしたので、貼った時”見栄え”のするアラカルト詰め合わせの写真のようなシートを選びました。 

 
私は日模SC200「大和」を竣工時に改造製作の”構想”がありますので試してみたいと思っています。
そうでなくともこの「大和」の甲板は微細な表現ですので塗装のみの表現ではパンチに欠けると思っていまして、
本当なら灰色一色の甲板を、思いっきりフィクションで行きたいと思っています。
では、改めて「金剛」の写真でご説明致します。

H-Deck.jpg (29931 バイト)

1.木目をプリントしたシートを買 ってきました。木質の違う物を印刷されているのが分かりますネ、これを活用します。 
2.100ミリにカットします。
3.それを1ミリ幅に切ります。
甲板中央からまず貼っていき隣の隣の甲板とは20ミリずらして木質の違う物を順番に貼って いきます。
4.端っこは後でカットして整形します。確かに根気のいる作業には違いありませんが、先達の方々の方法よりずーっと簡便な方法です。
”手抜方法”として甲板は1.5ミリ x 100ミリ程度のオーバースケールでも良いと思います。
(写真の方法)

貼り方のポイント
1.1cmごとに線を引いて、中心線に平行に貼る位置のガイドとする。
2.甲板下地を黒く塗っておいたほうが貼る時に歪みを見付けるためのガイドになる。(目が疲れない)
3.甲板幅は最初の2〜3本は定規で測るが、その後は目測でカットしていってもあなたならうまく切れます。
4.写真4に見えるシートのように、下の台紙まで切る必要はないので木目材のみをカッターで軽く切る。

5.私は、一番濃い色と一番薄い色目の木目材を交互に貼っていきました。
それでは、濃淡3〜4種類の木目を交互に貼っていきます。貼ってる時はみんな同じ色に見えるのですが、
貼ってしまうと結構 色の差が出てくるものですネ。
実艦では全てチークとか檜で貼ってるので単色なのでしょうが、模型的には交互取り混ぜて貼っていった方が見てて楽しいのは間違いないと思います。
 メーカーの言うように、シートがガチガチに付いてくれれば今後の甲板上の構造物の取り付け作業も簡単な事でしょう 。
要所要所をサラサラ系の瞬間接着剤を染込ませるといいです。
貼り方が終わったら、薄めのエナメル系塗料を塗って”筋入れ”をすると引き立ちます。

貼った後の感想では 体育館のフロアを白っぽくした感じで”色が綺麗過ぎて”軍艦のデッキじゃないナ、と思えます。
しかし、見るものに「よくやった、努力は認める!」というように感動を呼ぶものと思います。
  ( '99.8.17 ) 

作例 : 1/350「扶桑」の甲板は上記の方法で貼りました。( '03.2.20 ) 

 Hint2  Hint-Home