自作エッチングのすすめ 1

材料の入手
まず、メーカである サンハヤト鰍フWeb の「代理店一覧」から、お近くの販売代理店を確認します。
販売店に行き、 洋箔材(DF001W)、現像液、エッチング液、フラックス、パット等を購入します。以上で2870円他にHPシート、セロテープ、等々が主なものです。  作れば作る程安くパーツが出来あがることにはなりますが… 一応、 「ハガ1枚分1.5千円掛かる」 のを目安と思ってください。

補足説明:この洋箔板「DF001W」以外にも、2倍の面積で 「DF002W」も発売されています。私はこれをハサミで半分に切って使います。 もちろん、割安になるからです。
以上の紹介したもの以外にも「エッチング・キット」が新発売されています。現物は「東急ハンズ」にあるそうです。一度、眼で見て確かめられる事をお勧め致します。(詳しくはこの章の最後のところをご覧ください)
 
工程の概略
  1.原稿をフォトショップ等のドロー系ソフトを使って、パソコンで作ります。そして画像を白黒反転操作します。
 
  2.OHPシートに印刷します。
 
  3.感光板に原稿を乗せて透明板で挟み太陽光で焼き付けます。

  4.現像液に漬け現像して水洗いします。乾燥させます。

  5.エッチング液に漬けてエッチングします。原稿に書いた以外のところが溶けパーツが浮かび出てきます。

  6.水洗いしたパーツには青いレジスト膜が残っていますのでもう一度現像液に漬けて膜を取ります。

  7.乾燥後フラックスを塗って完成!
    飛びあがる程の興奮を味わえるハズです。これでどこの誰も持ってないパーツが完成しました。

    では詳しい説明に参ります。 


1.原稿作り (画像の 「解像度を300」 として説明します)
     部材購入前にとにかく原稿を作ってみましょう

基本的考え方としては、下写真の「電探」のようにパート毎に太い枠でパーツを囲む事と、侵食部分をなるべく少なくする工夫をする事です。  エッチングは原稿作りが大きく出来具合に影響しますので大切な工程と言えます。 (手摺と電探を例にして説明します)
 
a.
 手摺のなるべく大きい図面をスキャンして、フォトショップのようなドロー系ソフトでとり込みます。(グレースケールに変換します)
( または、スキャナーが無くても、ソフト上で直接スケールに合わせてラインツールで線を引いて作れますが、かなり面倒です) 
  
b. スキャンした図面(写真)を水平にしてラインツールで線画(トレース)します。ラインの太さは3ピクセルを標準とします。余分なところをカットするか、コントラストを強く掛けて線のみ残します。
もっと細く書いても、エッチング液に漬けておく時間でラインの細さは調節できます。

c. プラキットの”ランナー”みたいに太線でパーツを囲みます。(パーツがエッチング中に外れないため)一方で1ピクセルの線を、ところどころに引いておきます。
  (この線が 溶ける前 にエッチングを引揚げるという目安にするため)

d. 完成したらパソコンに記憶させる。私は頻繁に上書きしてます。1つ目のブロックが完成したのでこれを A図とします。 

e. 次に21号電探の原稿を作るとします。
  
A図を呼び出して A図の空き地に 電探の図をはめ込みます。仕上がったら表示レイヤーを結合します。
   
注意、A図も電探図も、”同じ解像度”でないと図面のサイズ違ってきますので、スキャン時の設定を、解像300とかに全部統一する事が大切です。
     【画像を分けずに一発で取り込んでもそれは構いません】

f. 最後に、普通紙に白黒単色で印刷して点検します。
パーツのサイズが縮尺どおりになっているか? 何のパーツなのかメモして保管する。勿論改善個所があれば赤字で記入して処理します。 
完成してパーツを切り離した時に「これ何のパーツだったかナ」という事がよくありますのでチェック用になります。

. 画像を白黒反転処理します。(写真.1)
また、後述の”焼き付け”時にはこのフィ ルムを2枚ピッタリ重ねる必要になりますので、欄外に+マークを書いておくと便利です。トンボ機能があればそこを指定する。 

Ec1.jpg (31345 バイト)

2.フィルム作り(印刷)
私はOHP用紙でフィルムを作りました。(トレシングペーパーでも可能のようですが、お勧めしません)
印刷する前にもう1度質問します。原稿は”白黒反転”したものですネ?
OHP用紙は素手で触らないようにして下さい。インクが手の油分で弾いてしまいます。静電気が起こらぬよう摩擦にも気を付けて下さい。  
a.    用紙の設定をします。
まず印刷のサイズを決めます。洋箔板は100x150位ですが、フィルムはそれより大きめの148x210( A5用紙 )に打ち出します。(A4サイズで印刷しカットする)
用紙の種類はOHPにするところですが、「普通紙・精密」に設定して、インクの出方はプラス側(印字がかすれるときの対応)にします。 こうして印刷したら大丈夫だと思います。 

b. 印刷しようとそのままOHPフィルムをプリンターにセットしても”スリップ”が心配な方はコピー用紙(普通紙)を台紙にして、OHP用紙をトレー投入側のみをマスキングテープでしっかり止めてトレーに入れます。

  (次のC.は a. の方法でやっても、日に透かしてハッキリ筋が見える時の方法です) 
c. 印刷されたフィルムを透かして見て横筋が見えた時は、原稿として使えませんので同じ面を重ねて印刷します。
重ね印刷するたびにインク面が盛り上がって頼もしくなります。「もういいじゃろう…」という黄門様の声が聞こえるまで繰り返しますが2回で消えるハズです。
 その昔は細マジックとかロットリングで”乗せる”ように書いていたわけですからそれを考えれば楽なものです…。
   これを A原稿と します。

d. 両面から感光板を覆いますので、A 原稿と同じフィルムを作る必要があります。このフィルムを、B原稿 とします。 
  
  
3.焼き付け(露光)

焼き付けは、安定した晴れの日にするのが良いです。
(商品として焼付け時間の管理できるライトボックスがあります)
セットする時は暗いところでします。
なお、次の工程4で述べる現像液をここで作っておきます。DP-10現像材の半分をパットに入れ、お湯250cc、(温度30度)で溶かします。
冬の寒い時は、少量のお湯ですから直ぐに30度から下がりますので、外側をお湯を張った洗面器の中に浮かべます。
参考 :サーモヒータ(TH100)があると確実に温度をキープします。

  【写真.2の説明】
a.   は透明アクリル板を布ガムテープで止めた物です。
b.  A 原稿B原稿を、ズレの無いようにテープで止めます。  (タミヤのマスキングテープが最適です) 
  ズレが気になる場合は欄外に目印+マークを記入しておく。

c.暗いところで洋白板を取り出して、A 原稿B原稿の真中に挟み込みます。
d.これを今度は、ガラス板か透明アクリル板に挟んでテープで厳重に”光が横から回り込まないよう”に止めます。
e.太陽に正対させ片面づつ露光します。表面 90秒、裏面70秒を目安にします。(トレーシングペーパーは2分と指定されている) 季節や実行する時間等で条件が変わりますので記録しておく事が必要です(^^;;
露光の終わった洋白板は現像まで黒い袋に入れておく

4.現  像
露光後は速やかに現像をします。まだ暗い部屋で行います。
現像の反応の進み方は早いので早目、早目に引き揚げ、洗面器に張った水に一旦漬けて反応を止めて確認してまた現像液に漬けるのがコツです。
  
a. 洋白板の表面の薄い透明の保護膜を剥がします。慌てているので忘れますヨ。(私は)
b. 3で作っておいた現像液の中に浸します。
c. 1分もしないうちに白っぽい濁り液が出ますので、太筆でパーツの裏表の表面をこすります。1度引き揚げて水で洗って時間を掛けて点検します。 そして、また液に漬けた時から反応は始まりますから、何回も中断して作業するのがベストです。パーツとして欲しい部分が金属色に浮 き上がり曇った部分が無くなったら揚げます。
d. 水洗いしてドライヤーで乾かします。

  【写真.3の説明】
注意 : 写真.3 の最上部のところの表面が曇っていますが、こんな部分は反応が不充分なので現像液を筆に含ませ曇った部分を塗ります。全体を漬けるとどこかの線は切れてしまいます。 (写真左下には断線部分が見えています
 
e. この時点でパターン修正が出来ます。反応が進み過ぎて切れかかった線が万一ありましたら細い黒マジック(レジストペン)で直接書き込みます。
   
番外テク(繰り返しになりますが…ポイントになりますのであえて)
現像液からは早目に引き上げて、一旦水に付けて洗います。
気持ちが落ち付いたところで、溶けて欲しい方の表面がスチール色になるまで今度は筆に現像液を含ませ、「反応の遅れているところに塗っては水洗い、又他のところを塗っては水洗 い」 と慎重に現像した方が失敗しません。
「もう少しだなー」と思い漬けて、すぐ揚げても大事な線が洋白板から剥離している事があります。
微妙なところは針でギコギコ剥がすのも良いでしょう。 

5.エッチング 
 いよいよエッチングの山場です。ワクワクしますよ、あなただってきっと!
  現像処理と違って、比較的ゆっくりと反応はすすんでいきます。最後に青い部分が残ります。 

a. パットにエッチング液(40℃が最適)を入れ、割り箸に挟んで洋白板を浸します。
  
b. 洋白板の上部の方が下部より反応が早い特徴がありますので(これを利用したテクがあるらしい)
 1,2分ごとにひっくり返します。
  反応は板の外側から溶けてきます。監視用に1ピクセルで書いたラインが切れそうになるとか、外枠側の線の進み具合を目安にして引き揚げるタイミングを測ります。
c. 一旦引き上げて水洗いします。
 ここで、エッチング反応の完了したところと足りない個所があったら、完了したところはハサミで切り取り、まだのところを再び漬け直します。または、エッチング液を筆で塗って促進します。
逆に言えば、水洗いをキチンとしないと侵食は進みますので注意が必要です。
     
番外テク :
原稿の線が例え0.5ミリ幅あったとしても、液に浸す時間を長めにすれば0.1ミリ幅にする事は可能です。
侵食を止める(液から引き揚げる)タイミングがパーツの出来を左右します。ここが印刷と違うところです。
実は、線の太さは「3ピクセル線」と言いながら、今回 「2ピクセル線」で試作しました。
失敗覚悟でトライしておきたかったからです。その結果、「3ピクセル」線で原稿を作り、エッチング時間の長さで「2〜1ピクセル線」の細さに操作した方が、原稿も確実に書け賢明な方法と言えます。 

6.レジスト膜の除去
DP10現像材を50度に暖めてパーツを浸してしばらくすると青いレジスト膜がパーツより離れて浮いてステンレスのような輝きが表れます。
パーツを引き揚げ水洗いします。この時の注意点は細いパーツがこのレジスト膜にからまりますので手で無理に引っ張らず、洗面器の水を入れ替えて、パーツを水に泳がせてレジスト膜を離していきます。またパーツを排水と一緒に紛失しないよう注意して下さい。 

7・フラックスを塗る
表面保護のためフラックスを塗ります。(メタルプライマーとの関係が分かりません)

8.エッチング廃液の処理
エッチング反応した後のエッチング液はそのままでは捨てられません。エッチング液同封の処理剤で、解りやすい説明書がありますのでこれに添って固めて処理します。

ご質問がございましたらメールでお願い致します。 (00.6.27、及び 06.10.28 文章一部改訂)

完成写真が次のページにございます。ご覧下さいませ  

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